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25 November

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23 December

【二人用CoC】今宵、見る夢は

戦闘を楽しむための二人用CoC。
SANチェックは比較的軽め、発狂ポイントは3箇所。戦闘がメインのものです。
エネミーの制約をゆるめたり、ステータスを変更することで難易度をあげることも可能。
推奨技能は各種探索系、戦闘技能系(詳細後述)

***

■あらすじ
探索者たちは、共通の親しい友人である立川ナツキに頼まれて、彼の否かである奥会津の山奥へとやってくる。何もない田舎、平和的な風景……そう思っていた。
しかし、その夜2人は夢を見る。
それは、友人である立川ナツキを絞め殺すという、リアルな皮膚の感触まで伝わるような夢だった……。

■概要
立川の田舎には昔金山があり、鉱夫たちが地下深くに潜っていた。そこで遭遇したのが「地底を掘るもの」(マレウスP69)である。
それを捉えようとして多大な犠牲を出した鉱夫たちが最後に頼ったのは、その土地で司祭を務めていた立川の祖先だった。立川はなんとかそれを封じ、「あと200年もすればこの怪物は力をなくして死ぬだろう」と予言。その200年後が今である。
「地底を掘るもの」は、自由になる最後のチャンスとして死に物狂いで立川を殺しに来る。なぜなら立川のもつ「声」こそが、封印を縛る枷であり、立川の血を飲むことによってその封印から逃れることが出来るからだ。

■PC作成上の注意
・PC二人はあくまで「立川の親しい友人」でなければなりません。したがって、大学生や高校生に固定してしまうのが一番楽でしょう。また、同じ部屋で雑魚寝をするという重要なイベントがありますので、可能なら同性であることが望ましいです。女性探索者2人の場合は立川も女性に、男性二人の場合は立川も男性に設定してください。
・「地底を掘るもの」は通常攻撃を半減し、更に毎ターン2ポイントの生命力を回復します。HPの平均が17~18であっても毎ターン回復なので、武道+キックなどの確実に大ダメージを与えられる戦闘技能を推奨します。(半減なので両方成功で1d6、キックだけなら1d3のダメージとなります)ただし、ダメージボーナスがある場合は特に武道やマーシャルアーツの習得を推奨しなくても構いません。1ラウンドに2点以上のダメージを与えられるのならば、確実にそぐことは可能です。

*参考までに、1d3+1の魔術が使えるPCと武道+キック持ち(dbなし)のPC二人が戦った結果、平均5ターン程度で勝利できます。早ければ3ターンエンド、長くかかれば8ターンくらいで、一度全滅も有りましたが、余程のことがなければ大丈夫だと思います。
難易度を高くしたい場合はエネミーを一度だけ「大量回復」させる、あるいはHPを増やすだけでも苦戦できます。


■エネミー
地底を掘るもの
STR:3d6+6 CON:3d6+12 SIZ:3d6 INT:3d6+6 POW:6d6+12 DEX:2d6
噛み付き:80% ダメージは2d6+db
本来は呪文を知っているエネミーですが、今回は封じられた状態で対戦する事になりますので、使える技能は噛み付きだけにします。
ただし戦闘中に立川が死んだ、あるいは自動気絶した場合、「癒し」などを使って再生したり魔力を帯びた武器でも攻撃を半減するなどの強化が可能です。その辺りの改変はKPのお好みで。


■NPC
KPはNPC立川ナツキを自由に作ってください。その際、回避の技能を60以上で取ることを強く推奨します。

+++++++++++++++++++++++++

■導入
探索者たちは、友人である立川から悩みを打ち明けられる。
「本家に呼び出されちゃって、次の連休、福島の山奥に行かなきゃいけないんだけど……気が乗らなくてさ……もし、2人とも予定がないなら……できれば、ついてきてくれないかな?」

*この時心理学を振るPCがいた場合、立川はこの田舎を好きではなく、できれば行きたくないと思っているのではないか、と読み取ることができる。

Q:行きたくないのか?
「……そう、だね。なんかよく覚えてないんだけど、蔵に閉じ込められたんだよね、よく。それがすごい怖くて覚えてる。今もちょっと閉所恐怖症気味だし」
Q:どんなところ?
「ローカル線が2両編成……って言ったら程度わかる?しかもほとんど無人駅」
「見渡す限り山しかないような所だよ、湖ならあるけど、でもレジャー用って感じじゃないしね。トトロってアニメ映画あるじゃない?あの田舎みたいな」
「もちろん娯楽施設なんか全くないよ。自然は綺麗だけど。他にあるのは大きな病院くらいかな、年寄りが多いからね」
Q:本家って?
「本家の前橋は、土地の権力者……って簡単な話でもないんだよね。なんて言えばいいんだろ。土地に縛られることを運命づけられた家、って感じ?」
「立川家は前橋家の唯一の分家なんだ」
「呼ばれていったって、特に何かするわけでもないんだよね。ただ漠然と3日位過ごして、帰ってくるだけで」

他にも引っかかっていることがあるようだが、「行けばわかるよ」とはぐらかされる。


□事前に調べてわかること(図書館、あるいは知識など
新潟と福島の県境ほどにある小さな町。主な収入源は農業。過疎化が進んでいるが、昔は金山の町として栄えていた。200年ほど前にその金山で、たくさんの鉱夫たちが狂い死ぬという事件が起き、金山は閉鎖されている。
*クリティカルだった場合、「大きな精神病院があり、風土病も報告されている」との記述を与えてください。


****

1日目
探索者たちは電車で4時間かけて立川の田舎までやってきます。
電車の中で目星を振る場合、2両編成のローカル線であるにもかかわらず、ある程度座席が埋まっていること、乗客の大半は地元の人間ではなさそうだということに気づくでしょう。
やがて立川が「次で降りるよ」と告げた駅にたどり着きます。
すると、乗客たちの多くもこの駅で降りるようです。

立川「大きな病院があるから、見舞い客だと思うよ」
という立川の言葉を裏付けるように、窓からは白い建物が見え、降りた他の客達は一様にそちらに向かって歩いていきます。

探索者たちには、立川の従兄弟である「前橋裕也」が車で迎えに来ています。
裕也は探索者たちへ情報提供をするためのNPCですので、できるだけ友好的に描写するよう、KPは心がけてください。
前橋家までは、歩いても15分ほどですが、荷物があるだろうからとわざわざ車で迎えに来たという設定です。挨拶などを済ませたら、裕也は何か小声でひとりごとを言います。
聞き耳「一人きりにしないで済むし、よかった」など、探索者たちが来てくれて歓迎するような言葉を言わせてください。


□前橋家
車で五分程走れば、すぐに前橋家にたどり着きます。荷物を下ろすと裕也は、
「いつものように離れは自由に使ってくれよ。飯は母屋な。夕飯で来たら呼びに行くから」
と母屋に帰っていきます。
立川「……この離れ。これ、立川の家族しか使ってない、専用なんだよ。待遇の良さが気にならない?」
探索者たちにあてがわれたのはきちんとした一軒家です。異常なほどの好待遇だと感じるでしょう。

前橋家と離れに目星する場合
前橋家は確かに大きな家だが、金持ちのようには見えない。農家であるとの通り、農耕器械や軽トラックなどがとめてある。庭には花が咲き乱れていて、いかにも田舎の家という感じだ。
 対照的に、離れはむしろ新しい。4人家族が住むにちょうど良いくらいの大きさがあるし、冷暖房設備や家具などもきちんとしてて、年に数回立川家が泊まりに来るためだけにあるにしてはあまりにも立派である。

□離れ
玄関を入ったら、探索者たちはアイデア。
アイデア→家に足を踏み入れた瞬間、違和感を感じるでしょう。
ここは、休むための場所ではない、そんな風に感じる。何か魔術的な力が、この土地には働いているのだと。例えるなら……そう、鳥籠。あるいは牢獄のような……?
そんなことに気付いてしまったら、SANチェック0/1

立川はこの離れが好きではないと言い、ここは昔蔵が建っていた場所であると告げる。老朽化により取り壊し、この離れが建ったのだという。

離れの間取りは、
1Fにバス・トイレ、ダイニング、リビング、フローリングの広い洋間。
2Fにがらんとした客室が4部屋と、広めの和室がある。
立川はまっすぐに2Fの和室に探索者たちを案内して、立川「一人で寝たくないから、この和室で布団を並べて寝て欲しい」と頼みます。2Fの他の客室については、誰も使っていないので掃除が必要だ等と理由を付けて使えないことにしてください。また、布団もこの和室にしか用意しません。
KPは必ずこの部屋で3人を雑魚寝させるよう、うまく誘導してください。

探索者たちが他の部屋を探索しようとする場合、2Fの部屋は何も情報が無いので、自由に探索させて構いません。ただし1Fを探索しようとした場合、裕也が探索者たちを呼びにきます。
「夕飯ができたから、母屋においで」と。

母屋ではすでに宴会が始まっていて、「立川の友達か!よくきたね!」と歓迎ムードでどんちゃん騒ぎをしています。
この時ある程度食事が終わってから聞き耳を振ると、「さすが立川の」「やっぱり立川はすごい」「立川が選んだなら間違いない」などと、前橋の人々が全員狂信的に「立川」を盲信していることに気づくでしょう。立川はそれが嫌で、居心地が悪そうです。
また、ナツキは裕也に「おじいさんは?」と訪ねますが、裕也は困ったように「具合が悪くて会えない」といいます。ナツキは、「自分がよばれるとき、おじいさんはいつも具合が悪い」と悲しそうに言うでしょう。
宴会は遅くまで続き、立川はうとうとし始めるので、解散となります。酷く眠そうな立川を描写してください。
離れに戻る直前、裕也が探索者たちに耳打ちしてきます。「あとで果物を持って行くから。疑問があるだろうけど、その時に」と。


□その日の夜
立川は離れに戻ると同時に倒れるように寝てしまいます。玄関などで眠りこけて、探索者たちに家の中に運んでもらいましょう。
その後すぐ、裕也が果物を持って探索者たちを尋ねます。
何か言いたげな裕也に説得、あるいは信用をロールしてください。
成功で、裕也は立川には言わないで欲しい、と前置きをして、以下の様なことを言います。
・一応、前橋が本家となっているが、立川あってのこと。
・古い話だが、この辺には昔バケモノがでた。それもとびっきり悪質なのが。立川がそれを封じたという伝承がある。その後も度々怪異のある度に、立川がそれらを処理してきた。
・それが具体的にどういうことなのか、裕也は教わってない。
・今の立川家ではナツキが一番、そういうものに対処する力が強いらしい。
・立川の人間は、楔だ。居るだけで抑制剤になる。だから前橋の人間は、昔から立川に尽くせと教育されてる。宴会で過剰に持ち上げていたのもそのせい。
・前橋は悪いものに反応するレーダーみたいなもの。前橋が何かを感知したら立川を呼んで対処する。じいさんが具合悪いのもそのせい。裕也も具合は良くない。

最後に裕也は、「……俺も気をつけるけどさ。あんたらも、目を離さないでやって欲しい」とナツキを探索者たちに頼んで母屋に帰ります。

********

裕也の話が終わると、探索者たちは眠気に襲われます。このまま一階の探索を行うことは許可しません。布団に入って寝るよう促しましょう。

□1日目夜

その夜、あなたは夢を見る。

ギリギリと、何かを締め付けている自分の手。
ギリギリと。
それは体温を持ち、かは、と苦しげに息を吐く。けれどもその喉を、自分の手のひらは、緩めること無く締め続けている。
殺せ、と内なる自分が叫ぶ。
殺せ、そいつを殺せ!
声にならない声を吐き出すように、その男は唇を薄く開けて、あなたの名前を呼んだかもしれない。けれども耳鳴りが、その声を鼓膜に触れさせなかった。助けを求めるためか、あなたの腕を掴んだ掌。覚えのある掌だ。
やがて、彼からはぐったりと力が抜け、あなたの腕を握っていた指先も床に落ちる。
あなたは半分の満足と、半分の恐怖を伴いながら彼を見下ろす。

――自分の手が殺した、立川ナツキの、死体を。


そこで、目が覚めた。
この忌まわしい夢を、確かなリアリティを伴って見てしまったあなたは、1/1d4+1のSANチェックです。

****

2日目からが探索パートになります。
立川ナツキはもちろん生きていますが、昨日にもまして眠そうでふらふらしています。

探索者たちが調べることができる施設は、現在「離れ」のみです。母屋の探索は、家人が全員農作業に出払っているため出来ません。

1:離れ
宿泊する離れ。もとは蔵が建っていた土地だという。
1Fはリビング、そこから続きのダイニング、洗面所、トイレ、日当たりのよい洋室が一つ。2Fは客室が4部屋とみんなが布団を並べて寝た大きな和室が一つ。だが2階に関してはほとんど何もない部屋ばかりだ。

立川は「話してれば寝ない……と思う」と言って一緒に探索します。必要であれば技能を振ってください。

●リビング
目星→ごく普通のつくりに見えるが、ソファの影、壁に妙なものが埋め込まれている。金属の円筒がぽかりと口を開けていて、メッシュで穴を覆っている……スピーカーのような感じ。
立川もそれが何かは知りません。

知識→構造的に必要性があるとも思えない。

もしメッシュを引っぺがすなら、その穴が下に向かって伸びているとわかるだろう。
聞き耳→何か不愉快な、虫の羽音のような音が聞こえてくる。それが耳ざわりに鼓膜をくすぐり、酷く陰鬱な気分になるだろう。そして、もぞもぞと地を這う音が、聞こえる。SANチェック0/1d3

●洋室
目星→ウォークインクローゼットの床板が一部素材が異なっている。はめ込んであるだけに見える。
板を外すと、模様の書かれた石の板が表れる。立川に見せると、「立川の家紋だよ」と教えてくれる。立川はこの石の板に見覚えがあるようだ。
「昔、開けたことあると思う……蔵の中で。あんまり覚えてないんだけど、なんかすごく怖くて叫んだような、おぼろげな……」と、曖昧な記憶がよみがえるようだ。
ちなみに、他の二人があけようとしても開かない。
立川は、どうやって開けたのか思い出してみると探索者たちに言う。

*外に出ようとすると、立川ナツキは「眠いからちょっと仮眠をとる」と言い出す。
そこに、裕也がやってくる。
探索者たちが外出するのならば、自分が立川に付いているので気にせずに出かけて欲しい、と言うだろう。
「この辺のこと調べたいなら地元の図書館が役場の隣にある。ここからなら一本道だ」
「地元の人間なら、「立川の友人」だといえば協力しない人はいない」
「調べたことは、あんたらからナツキの耳に入れるっていうんなら止めない。ただ前橋の人間に知られないように頼む。……恐れているんだ、前橋は。真実を知って、立川がここに来てくれなくなることを、心の底から」

目星、あるいは心理学→裕也は顔色が悪く、なにか心配事がありそうだ。
アイデア同じ夢を、彼も見たのではないか?不吉な予感にとらわれ、SANチェック0/1d2

***

2:町営図書館
蔵書数はそう多くないが、郷土についての本がそろう。
図書館ロール→4時間かけて得られる情報は次の通り。

●町の歴史
もともとは金山として名をはせた町。江戸時代中期までは金の収入で栄えていた。その後金が出なくなったために金鉱を閉鎖すると、見る見るうちに廃れていく。
同じ頃、風土病が流行り、ほとんど壊滅的にまで追い込まれたが、当時の司祭の活躍により状況が改善し、その後は農村としてつつましやかに存続している。

●民話
金鉱として地下を掘り進んでいたころ、一人の男が奇妙なものを見つけた。それは穴を掘る巨大な虫のようにも見えたが、とかく不気味でおぞましく、怪物めいていた。
人々はこぞってそれを殺そうと、あるいはとらえて見世物小屋に売ろうと躍起になったが、それはあっという間にとらえようとした人々を殺してしまった。
金鉱は大事な収入源、殺人虫を放置するわけにはいかぬとて、力自慢や武芸に秀でた男たちが何人も戦いを挑んだが、結果は変わらなかった。虫の出現と同時に、不可思議な風土病も流行り、人々が狂い死にするという惨状も起きた。
村人たちが最後に頼ったのは、土地で司祭をしていた男だった。司祭は祝詞をあげ、呪歌を歌い、怪物を封じ込めることに成功した。怪物は、今も封印から逃れようと地底であがいているという。

離れで聞き耳していた場合のみ、アイデア
→あのおぞましい蠢く音は、ひょっとして、この怪物の物音なのではないか。あの家の地下には、化け物が居るのではないか……と気付く。SANチェック1/1d3

幸運ロール成功で追加。
●立川
地元の司祭として長く権力を持っていた。今は分家の前橋に権限を譲り土地を離れている。
立川はこの土地で暮らせばみな短命に終わるため、存続にはよその土地へ移るしかなかったのだ。そのため前橋との取り決めにより、年に数回の来訪を定められている。

○風土病についての資料は隠されたかのように見当たらない。

***

図書館を終えたら、KPは「駅前に食事をとれる食堂がある」などと言って探索者たちを駅前に誘導しましょう。
駅前には「白い建物」、ナツキが1日目に言っていた「病院」があります。
探索者たちのゾーキングがあった場合、「電車に乗ってきた客は、ほぼ全員その病院へ向かう」と情報を与えてください。アイデアなどを振らせて与えても構いません。
また、「白い建物」と「駅前」の調査は、どちらが先になっても構いません。


3:白い建物
医療関係の施設に見える。田舎町にふさわしくないほど目立っている。
名前は「町営病院」。

目星→全てのカーテンが閉められていて、窓自体がとても少ない作りになっている。ふつうの病院のようにはとても見えない。

入ろうとすると「ご家族の方ですか?お配りしている家族証をお願いします」と受付に止められます。ここでどのような対応をしたとしても、受付は探索者たちを中には通しません。
ここはどんな病院ですか?などと訪ねても、ご存じない方には縁遠い場所ですので、と冷たく返されます。
ここで「立川の友人です」といった場合、看護婦から「役場の遠坂さん」という人間が、立川の関連のことは取り仕切っている、と教えられる。
この情報は必須情報ですので、KPはアイデアを振らせるなどして必ず伝えましょう。
・役場に電話する、あるいは裕也に頼めば翌日の午前10時でアポイントを取ることが出来ます。


4:駅前
無人駅にも関わらず、乗り降りする人の数はそれなり。
「白い建物」とどちらを先に探索しても構いません。

駅前で病院へ向かう人々へ声をかけることが出来ます。信用、あるいはAPP×5のロールに成功すれば、以下の情報をもらえます。
・「白い建物」は県内有数の精神病院
・こんな辺鄙なところにあるから、頻繁に来ない理由にもなるし、人目につかないので利用者にはそれなりに好評。
・知る人ぞ知る病院で、かなり歴史も古い。もともとこの土地では精神病患者が多くて、必要に駆られて発達した分野らしい。
・土地特有の、風土病のこと。何か「えげつない夢」を見て三日三晩苦しんだかと思うと、発狂して暴れまわったり人を殺そうとするって物騒な風土病気があるらしい。地元では「悪夢は地下からくる」とかいう。このあたりは、昔は金山だったらしいのでその影響だろう。

*えげつない夢を……自分も見た。あの悪夢が怪物の見せた夢であり、今夜も同じ夢を見たら自分も狂ってしまう……そのような悪い予感が現実味を帯びた。SANチェック1/1d3+1


****

全ての探索を終えると、夕暮れが迫り、探索者たちは離れに戻ることになります。
立川や裕也から電話があったことにしてもいいし、迎えに来ても構いません。探索者たちが離れに戻ると、すぐにまた前日と同じように宴会に引っ張って行かれます。
「役場の遠坂さん」につて探索者たちが未だ知らない場合は、このとき裕也に教えてもらうことにしても構いません。

宴会中にできること。
アイデア、あるいは目星→前橋家の人間はみな、昨日より少し顔色が悪く、何か怯えているように見える。まるで無理やりテンションを上げているかのよう。
聞き耳→夢、三日はまずい、という単語をかろうじて聞き取ることができる。
立川はたっぷり寝たはずだが、まだ眠そうにしています。その日も、立川が寝てしまったので解散となります。
*裕也に「夢を見たか」と尋ねると、「見た。自分と祖父の他にも何人か見たものがいる。立川がいるのにこんなことは初めてだ」と困惑したように返すでしょう。

寝る前に、立川は少しだけ目をあけて、「何か下の方から……眠い……」などと言います。不安そうに、探索者たちに「そばに居て欲しい」というのもいいでしょう。探索者たちも強烈な眠気に襲われて眠ってしまいます。


***

■2日目夜
この日も探索者たちは夢を見ます。



あなたは、彼にナイフを突き立てていた。
もうそれを何度突き刺したかわからない。どくどくと血が流れ出て、床に美しく赤い模様を描いている。広がるその赤を、あなたはひどく尊い、美しいもののように感じるだろう。
振り上げたナイフから、生暖かい液体があなたの頬にかかる。それさえも甘美な甘い餌であるかのように、あなたは湧き上がる殺意を抑えきれない。
耳鳴りが、ひどく、脳を揺さぶる。
大地が殺せと叫んでいる。
血まみれのナイフを、ずたずたに切り裂かれたのど元へ、もう一度、もういちど、モウイチド……!
ざくり、突き立てると、血液が飛び跳ねて手を濡らす。すでに声を発することのない死体、それは確かにあなたの友人である……否、友人「だった」立川ナツキの躯だ。
目を閉じて眠っているかのように見えるその顔もまた、血に濡れて模様のような赤がこびりついている。ああ、満足だ。とても満足だ。あなたはひどく満たされた気持ちのまま、ナイフを床に放り投げた。耳鳴りが強まる。金属が落ちる音さえ聞こえない。なにも、聞こえない。ただうるさいハエの羽音のような不快な耳鳴りだけが、ぐらぐらとあなたの思考回路を揺らす。ぐちゃぐちゃに、何も、考えられない、ああ、赤が、赤い、血、それを、血を、はやく、死に絶える前に、はやく、はやくはやくハヤクハヤクハヤク……

――これは、夢だ。
――夢なら、構わないだろう?

脳裏に直接注がれるような、その悪魔の誘惑にあなたは抗えない。むせ返る血の匂いに鼻をひくつかせ、その鼻先が汚れるのも構わずに、切り裂いた赤い花のようなのど元に、その、生々しい死の亡骸に、人間だったものの肉塊に……

かじりつく。
――錆びた、鉄の味の。


*ここまで描写したら、探索者たちに1d100振ってもらう。

●大きな数を出したPC
あなたははっと我に返った。
自分がひどく汗をかいていて、息が荒いことに気付くだろう。酷い……最悪な、夢を見た。吐きそうな気分の悪さ、ぐるぐるとまわる思考回路……そして。
違和感を感じる。
自分は寝ていたはずだ、だが今、自分の体は物理的に起きている、様に思う。
それを自覚すると同時に、まどろみが急速に抜け落ちる。
――そしてあなたは愕然とするだろう。あなたは、隣で寝ていた立川ナツキの上に馬乗りになり、その首に手を置いていたのだ……。


●もう一人のPC
目を覚ますと同時に視界に飛び込んできたのは、今まさに首を絞めようとでもいうような体制で友人の上にまたがる友人の姿である。夢がフラッシュバックし、悪夢の続きであるかのようにさえ感じるであろう。
――夢が、現実を侵食しているかのような。
冒涜的なこの現象に、二人はSANチェック1d3/1d6+1です

立川が目をさまし、声を発すると、今まであなたを支配していた耐え難い殺意は、薙ぎ払われたかのように消え去る。


*****

その後すぐに、裕也が真っ青な顔で飛び込んできて、立川の無事を確認して崩れ落ちる。
「っ、駄目だ、これ以上は、駄目なんだ……っ」
「もう、二日目だ、今までこんなことなかったのに」
「今宵、見る夢は終末だ、悪夢の始まりだ、駄目なんだ……っ」
「頼む、頼むよ、立川を殺させないでくれ」
などと意味不明なことを喚いているので、取り乱している裕也に精神分析を振ってもらう。

落ち着いた裕也は、「最後の手段だ」と言って音楽プレイヤーを立川に手渡す。
「フル充電しといたから、たぶん夜までもつと思う……。止めないで流し続けてくれ。たぶん、眠くならずにいられると思う」
*音楽プレイヤーの中身は、今まで裕也が撮り溜めた「立川ナツキ」の音声だ。それを流し続ける事によって、立川は眠らずに探索に参加することができる。


*****

ここからは3人での行動となる。

5:役場/遠坂さん
地域研究家として名高いらしい。アポを取っていれば会える。

KPは適当なところで、3回アイデアを振らせる。アイデア1/4>1/2>そのままの数値。
居眠りしている人が多いと気づかせることができる。

常識の範囲内のこと
・立川はもともと前橋の本家だった。現在前橋を本家と偽っているのは、立川がよばれた時に来ざるを得ない関係を作るため。立川は体質的にこの土地に住むことができない。
・図書館で読んだかもしれないが、もともと立川は司祭の家。遡ると祖先は不思議な力を持つとされていて、特にその声に魔力が宿ると言われていた。
・なぜ立川がここに住めないか。衰弱死するからだ。眠くて眠くてたまらなくなり、しまいには食事も忘れて寝続ける。短い間ならそれでも害はないが、一年、十年続けば死ぬだろう。それで滅びかけて、前橋が催事を受け継いで、外に逃した。
今の立川がまさにその状態ではないのか、と気づいは2人は、0/1d3のSANチェック
アイデア1回目(アイデア1/4ロール。成功した探索者がいた場合、役場の人たちの様子に違和感を覚える。居眠りをしている人が多い気がする)


常識の範囲外のこと
・立川が封じたという化け物について。
「人間ほどの大きさ、太ももほどの太さの筒状の虫だ。無数のハネがその体にはびっしりとついており、忘れがたく不吉で不気味な羽音を響かせいた。それには目がなく、またそれにはサメのような歯があった」
アイデア→二人は、夢の中の耳鳴りがまさにそのような羽音ではなかったか、と気づく。
0/1d3のSANチェック

・それがいたのは金山の、坑道の奥、かなり深い地底だ。もぐらさえいないような所。当時の記録によれば、わかっているだけでも二桁の犠牲者が出ている
・それの近くに寄るだけで酷い頭痛と耳鳴りに苛まれ、わけのわからないことを喚いて発狂したのもいたらしい。その場にいた奴らだけでなく、上のほうで作業していた鉱夫や、近場の宿で休んでいた鉱夫たちも。広範囲に影響をおよぼす化け物だった。
・だから、立川が呼ばれた。当時は司祭に頼っておけばなんだってどうにかなると思われていたのだ。宗教みたいなもの。立川はその化け物相手に祝詞と呪歌で対戦し、なんとか封じ込めることに成功した。
・しかし大量の死人が出て化け物が発見された金山に、働きにくる人は途絶えた。瞬く間に噂になって広まり、鉱夫が集まらなくなって金山は潰れたのだ。
・そこでその金鉱への道を塞いで、その上に居を構えたのが前橋。化け物を地底に封じ、外に出られないように見張るために。
ここでアイデア二回目(アイデア1/2。成功した探索者がいた場合、役場の人たちが居眠りをしている人が多いと気づく。目の前の遠坂も少し眠そうだ)

・最初の頃はあまり封印もうまくいっておらず、風土病が流行った。だが立川がよそから専門の術師を呼び、落ち着いている。それでも時々暴れるので、その度に前橋が立川を呼ぶ。
遠坂は探索者に「夢を見たか?」「どんな夢だ?」と重ねて尋ねましょう。
「同じ夢を今宵も見るぞ。だが、今宵、見る夢はお前さんたちを狂気に引きずり込む。あれは3日以上連続して見ちゃならん。化け物のせいで狂っちまう」
と探索者たちを脅します。
「しかし、立川のすぐ近くに居るあんたらにまで夢に干渉してきたというのは、意外だな。そんなしんどいこと、今までやったことはなかったが」
「ひょっとして、」と遠坂が口ごもるので、ここで
信用、あるいは説得ロール(場合によっては言いくるめも許可)
・書物によれば、昔の司祭は200年もすれば力も弱まって倒せるだろう、と推測している。それまでは飼い殺してひたすら力が弱まるのを待っている。その二百年目がおそらくここ数年だ。
・化け物は焦っている、立川を殺そうと。前橋の人間も夢を見たというのなら、それは3日目の夜になる前にどうにかしなければならない。
*ここでアイデアロール。成功したら遠坂の様子が目に見えておかしく見える。そしてぐらりと傾いたかと思うと、倒れてしまう。気づけば探索者たち以外、全員が眠りに落ちている。
この現実的ではない状況に、1/1d3のSANチェック

*****

ここまでくると、立川が自分の家に電話をして、以下の情報を聞き出します。
・化け物は立川の血を飲むことに寄って封印から開放される。
・化け物は立川が声を発している限り、本来の力を出せない。
*もし探索者が立川を置いて行こうとしても、何が何でも立川はついていきます。石の扉は地下の中にもあり、その扉は立川でなければ開けることが出来ません。

立川が指先で家紋をなぞることで石の扉は開きます。離れの石の扉から、探索者たちは地下へと潜っていきます。
やがて行き止まりにたどり着くと、そこには広い円形の広間があります。
オカルト(あるいは目星)→床に何らかの複雑な術式が書き込まれていてこの場所が封印されていると気づく。

その中央にいる「地底を掘るもの」との対戦。
地底を掘るもの
STR:3d6+6 CON:3d6+12 SIZ:3d6 INT:3d6+6 POW:6d6+12 DEX:2d6
噛み付き:80% ダメージは2d6+db
目撃のSANチェックは1d3/1d10
装甲:通常攻撃は1/2ダメージになる。1ラウンドにつき2Pの再生を行う。

地底を掘るものは、立川が生きている限り立川を優先的に攻撃します。ただし、立川に限り地底を掘るもののダメージは1/2に抑えることが出来ます。一撃で死ぬことはないと思いますが、KPは必要に応じて以下の補正を付けても構いません。
●「回避に専念する」宣言することで回避に+10の補正を付ける。
●「かばう」を宣言する。1人1度だけ使用できる。宣言することで1d6のダメージを代わりに受けることができる。
この2つ(あるいは片方だけでも)を採択する事によって、死亡の可能性はぐっと減りますので、おこのみで。
*立川が死んだ場合、「地底を掘るもの」は任意の呪文を使用してパワーアップして構いません。例えば以下の様なパターンが考えられます。
・ヴールの印>癒やし>再生で2d6HPを回復する。
・恐怖の注入 対象となった探索者は0/1d6のSANチェック+次のターンの行動不能



****

無事にエネミーを倒したら、シナリオクリアです。KPは好きな様にエンディングを演出してください。
回復ロールは「立川の生存」で1d6、一度でも発狂したら1d3です。
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