呼び声・2010対応シナリオです。
ロケーションはゲームの「零~赤い蝶~」を参考にしていますが中身は全く違います。
心霊スポットを日帰りで何箇所か回る、「心霊ツアー」に参加した探索者たち。
このツアーは少人数でガイドが一人つくタイプのものなので、探索者は4人くらいが望ましいでしょう。前から知り合いでも、ツアーで初めて顔を合わせたのでも構いません。
戦闘はありませんが、SANチェックがたくさんあるタイプのシナリオです。
気軽に発狂しよう!が制作テーマ。
KPの裁量により、POWは3d6ではなく、2d6+6で振らせても構いません。軽くテストプレイしたかんじでは、一桁だと辛いと思います。
*ある意味生贄ロールがありますので、兄弟姉妹、親子などの血縁者設定はやめてもらいましょう。
推奨技能は目星、図書館、フランス語。
他、探索系の技能があれば良いでしょう。
KP用情報 緑文字
日誌、メモなど 赤文字
SANチェック オレンジ
その他ダイスロール 青文字
背景
PCたちは、戦前、一夜にして無人となり滅んだ村に、心霊ツアーで赴くこととなった。正午ごろに村にたどり着く。(時間の設定はご自由に。正午くらいがやりやすいとは思います。)
この村は、実は昔「ツァトゥグァ」を信仰し、「エイボンの書」を用いて様々な儀式を施行していたカルト集団の村である。一番大きな屋敷にツァトゥグァへの生贄を幽閉し、何年もの間その恩恵にあずかってきた。
この屋敷にあったものはフランス語版であり、タイミングが良かったのか満腹だったためか、ツァトゥグァは立体映像として現れ、この村に大いなる恩恵を与えていた。
次の生贄になるため育てられていた少女「五実(いつみ)」は、人並み外れたPOWを持っていたため、ツァトゥグァは気まぐれにこの少女を愛で、その魔力が最も充実する時期を待って生贄とすることになっていた。
だが、姉の「六実(むつみ)」が妹を憐れみ、長年続くこの血に濡れた儀式を終わらせることを固く決意。五美が生贄になる儀式のその日、身を清めるために滝へ連れていったまま、逃がしてしまう。
ツァトゥグァはお気にいりの生贄が逃がされたことを怒り、代わりに村中の人間を取っていった。
きちんとした儀式の終了が行われなかったため、今も儀式の間にはツァトゥグァの立体映像が残っている。儀式を終わらせる呪文を唱えれば、消えるだろう。
シナリオの目的
*第一目的は、五実の末裔が無事に屋敷から逃げること。
*第二目的、儀式の終了。
一番大きな屋敷である屋敷は、カルト集団の団長を務める「押切 俊之」が住んでいた。この屋敷の地下には儀式の間があり隠されている。探索者たちは、屋敷に入ると閉じ込められる。
探索者たちは、押切の部屋で「エイボンの書(フランス語)」と「完成の呪文」「無に帰す呪文」(2つともオリジナル)を見つけることができる。
エイボンの書は、ほとんど崩れかけており、読める場所が少ない。また保存状態その他の状況により、フランス語版の写であることが分かる。
1つにつき2D6週間の研究、フランス語技能成功で呪文を取得してもいい。どんな呪文が取得可能かは、KPの裁量に任せる。ボロボロの本なので取得可能な呪文は1~3つくらいが望ましい。
本を読まず、呪文だけを覚える場合は斜め読み扱いとして、<クトゥルフ神話技能>+3%、1/1d4のSAN喪失。時間は一時間。
きちんと読む場合は、読めないところも多いので、<クトゥルフ神話技能>に+8%、1d3/1d6のSAN喪失
*押切はフランスで娘を得て、酷い不幸により失っている。
愛したフランス人妻とは両親の反対にあった為結婚がかなわず、乳飲み子同然の娘も捨てられる寸前を奪還した。
若い押切青年にとって娘はフランスで生きる糧となり、娘の為と必死に勉強し、働き、なんとか人並みの家庭を築いた。ハーフの娘はエキゾチックな魅力があると幼いころから人気者だったが、16の歳に何らかの事件により命を落とし、以来押切は怪しい魔術書などを買いあさるようになった。
*今回はストーカーによる無理心中としたが、KPの裁量でどのような事件だったかは任せる。
ツァトゥグア信仰は、その大いなる知恵により娘を生きかえらせる術を探すために行われた。
■導入
探索者たちは、百年前に廃墟となった村で行われる心霊ツアーに参加する。オカルト好きだからでもいいし、廃墟が好きだからでもいい。たまには変わった旅行に参加してみたかった、とか理由はなんでもいい。その廃墟では、年に数人が行方不明となっている。忽然と姿を消すので、廃村の裏に広がる広大な森に迷い込んだのだろうとされている。
ガイドは藤崎武志という、あまり顔は良くないけど、愛嬌のある好青年だ。探索者たちの知り合いとしても良い。
廃墟となった村は、薄ら寒い空気はあるけれど、ほとんど朽ち果ててしまっていてめぼしいものはない。ただ、なぜか不思議と、当時村長だった「押切俊之宅」だけが、原型をとどめている。今回の目的地だ。
開始時間は昼ごろがいいだろう。ツアーは心霊スポットを回るだけで、この押切宅も2時間程度の見学で終わる予定の場所。もちろん日帰りだ。
藤崎 武志(ふじさき たけし) 案内役。二度死ぬ。
STR:5 DEX:15 INT:12 CON:12
SIZ:10 APP:8 POW:10 EDU:15
*ガイドの藤崎は探索者たちの目の前で命を落とすことになる。KPの裁量により、探索者の知り合いなどに設定した場合は、死んだ時のSANチェックを多めにしても良い。
*押切邸
(歴史を振ると、100年近く昔のものだと分かる。だがそれにしては保存が良い。しかも、当時の建物としてもかなり立派で、権力者が建てたのであろうと推測できる。*この情報は重要ではないので、歴史は必須技能ではない。)
*目星を振る場合は、この屋敷が2階建てであること、構造上屋根裏部屋はなさそうだということ、明かり取りのための窓がほとんど外から塞がれており、中は暗そうだということがわかる。
*この時外観をぐるっと見たいというPCが居た場合、追加して「屋敷の側面に地下へ続く石段があること」、その石段の先に「ボロボロで穴が開いている木製の扉があること」の情報を与える。そこから中に入ろうとしてもなぜか扉は開かない。
藤崎「こちらですよ。あ、扉は開けっ放しでいいです、中は結構暗いんで、少しでも光を入れてください」
藤崎が「あ、今ろうそくに火を付けますね」とポケットからライターを取り出した。ところが、うっかりそれを落としてしまう。カツン!と大きな音が響いて、全員がそちらに意識を向けた、その瞬間だ。
バターン!と音を立てて、扉が閉まった。
藤崎「え?なんですかこれ、こんなの初めて起きましたよ、どうしてこんな…!」
暗闇を切り裂く様に、一閃、光が縦に走る。
それはまるで空中に線を描いたかのように一直線に、藤崎の頭に降りた。
ドガッ、と、鈍い音が響く。
「……え?」
訳が分からない、と言うような顔をした藤崎が、瞬きをするのが分かった。しかし、藤崎はライトを持っているので、探索者たちにはその光景がよく見えた。
*懐中電灯を持っている探索者が居た場合、この描写は改変していい。
――なたのような刃物が、まっすぐに、藤崎の頭に振り下ろされたのだ。
次の瞬間、ぼたりと大粒の血液が、頭からあふれるように零れ落ちた。ガイドは何度か瞬きをしたようだったが、やがてひゅうと声にならない声を吐き出すと、そのまま仰向けにばたりと倒れ込む。力を失った手のひらから、ライトが転げ落ちた。
――この、凄惨な光景を目にした一同は、1/1d4のSANチェック。
PCたちがこのガイドと親しかった場合、1/1d6くらいに増やしてもいいだろう。
どうする?
ナタがどこから来たのか探す→そこには何もない。アイデアロールで成功したら、なにもないのにナタが降ってくるはずがないと気づいて0/1のSANチェック
ライト拾う→目星ロール
→成功したらろうそくの燭台を見つけられる。部屋に置けばライトが入らないくらいには明るくなる。もちろん、持ち歩ける。探索者の人数分あって構わない。
ロウソクは明るさを維持するためのアイテムなので、全員が懐中電灯を持っている場合は特に必要ない。また、ロウソクを持ち歩く場合でも屋敷の廊下にいくつもあることにして、明るさのペナルティは考えなくて良い。もちろん、KPによってはロウソクで明るさを管理して適度にペナルティを課しても良い。
ロウソクには、ライターがあれば火をつけられる。ライターは、藤崎が落としたものがある。
*藤崎に接近する前に、必ず「五実の末裔」を決定しておくこと。1d100で一番大きな数字を出した探索者、もしくはKPがPCに番号を振ってダイスロールで決めてもいい。
ガイドに近づく→どうぞ。
倒れた藤崎に近づくと、その死にざまは壮絶だった。直視しがたいほど割れた後頭部、あっけにとられたような顔。倒れた衝撃で抜け落ちたナタが、血まみれで転がっている。生前の、愛嬌の良い、おどけた彼の顔を思い出すに、あまりにも凄惨な最期だった。
その時だ。
「……う」
地を這うような、酷くひび割れた声が、藤崎の口から洩れた。決して彼の声ではない。だが、確かにそれを発したのは彼だった。
「うらめ、し、い」
声は再びそう言葉を紡ぐ。そして……
ばね仕掛けのおもちゃのように、飛び上がるようにして体を起こした。もちろん、頭からは血を流している。目は濁ってうつろだ。どう見ても死んでいるのに、彼は、彼ではない誰かの声で「恨めしい、恨めしい、」と繰り返す。
そして、( 末裔 )をとりわけ強く睨みつけると、こういった。
「逃がさんぞ、もう二度と、逃がさんぞ五実(いつみ)ぃ……咲絵を取り戻すまで……」
そうして高笑いをしたかと思うと、そのままするすると後ずさり、闇の中へ消えていった。
――死者がよみがえり呪詛を吐くという、この冒涜的な体験に、探索者は1/1d6のSANチェックをどうぞ
*この時ガイドには昔儀式失敗の際に死んだ、館の主、カルト団の首領、押切俊之が取りついている。
*ロールするまでもなく、( 末裔 )は、自分の曾祖母がいつみと言う名前だったことを知っているだろう。探索者の年齢が上の場合、祖母ということにしてもいい。
「いつみ」補足情報……美しい人だったが病弱で精神不安定の気があり、子供を2人生んだあと若くして亡くなっている。孤児だと伝わっている。
ろうそくをつけた室内に目星する→ガイドが消えて行ったろうかとは別に、目立たない引き戸の扉があるようだ。
→入ると女性が倒れている。服装は少し古めかしいが、顔立ちはとても美しい(APP15)。閉じ込められて寝てしまっただけなので、声をかけると目を覚ます。17歳くらいだろうか。
目星や聞き耳が高いから、一緒に連れて行くといい。
「無良睦美」と名乗る彼女は、「五実の末裔」のことが気になるようだ。
*睦美は五実の姉。六実が本名だが、一応偽名を使っている。
無良 六実(むら むつみ)
STR:10 DEX:9 INT:13 SIZ:9
CON:10 APP:15 POW:0 EDU:6 SAN:0
技能:忍び歩き60% 聞き耳75% 目星85% ナビゲート:70% 信用45%
持ち物はペンダントのみ。末裔のために気力を振り絞って具現化している幽霊のため、服装は迷い込んだ人々のものを真似ている。
SAN0,しかも幽霊なので、あらゆる心理学の結果は「特に変わったところはない」意外出てこない。ミスリードを狙うなら効果的に。
EDU6なのは、最低限の教育しか受けていないため。もともと生贄候補として、妹と一緒に屋敷に引き取られている。姉のほうが六で妹が五なのは、もともと生贄になるはずだった姉が先に「五実」と名付けられたが、妹が生まれた時妹のほうがPOWが高かったので、名付け親の司祭=押切によって名を譲られたから。「六実」と名づけたのは、予備の生贄の意味。
*希望があれば、目星や聞き耳を一緒に振ってくれる。
*実は永久狂人。妹・五美に対する偏愛で、彼女のためならなんでもする。妹にもらったペンダントを大事にしている。末裔に偏った愛情を見せる。
*KPは、可能な限り六実からの末裔への愛情を描写すること。また、探索者たちへの献身も印象付けると良い。さらにエンディングの演出のため、彼女が青い石と質素な革紐で作ったペンダントを首にかけていることも描写すると良い。これは妹の五実から送られたお守りである。
*「なぜここに?」→睦美「肝試しに来たら閉じ込められたの。物置にろうそくを取りに来たら、扉が開かなくて困っていたから助かったわ」
「一人?」→睦美「妹と一緒だったけど、妹は逃がすことができた」という。妹の名前を問われると、と曖昧にごまかされる。
「どのくらいここに?」→睦美「わからない。ここ真っ暗だから、どのくらいたったのかさっぱり……」
→KPは六実でナビゲート(70%)を振って、屋敷の1Fの地図を開示してもよい。
1F
2F
探索には目星を振った場合、一部屋30分かかる(基本)
■一階の探索
土間:最初の部屋。ガイドの生々しい血の跡が残っている。
ろうそくは持ち歩いて構わない。(1本2時間もつ)ガイドのペンライトと合わせて利用するなら暗闇補正は無し。探索者が別途灯りを用意してきた場合も同様。
持ち歩いていたカバンには、手帳が入っている。ロールせずとも「押切についての覚書」のページに付箋が張ってある。他はスケジュールや客の印象、注意事項など。
押切りについての覚書
押切 俊之……開国後、外国の技術を取り入れるため国策によりフランスへ渡る。工業技術等を学ぶ傍ら、娘一人を得ている。母親は不明。
帰国せず、そのままフランスで工場作業員として働いたが、娘が16の時ストーカーに殺され、犯人も自殺するという無理心中事件が起き、傷心の果てに数年フランス国内を放浪。その後帰国している。
この村では「司祭」を名乗り、神事を取り仕切っていたとされる。新興宗教の教祖?
*物置
真っ暗な物置。朽ち果てた農具や木箱が置いてある。睦美が倒れていた。
何もせずとも、ろうそくの予備を1本見つけられる。狭いので目星の必要はない。武器も見つからない。
*部屋①
広めの和室。ふすまを開けると部屋②に続く。
目星成功で座布団の下に「手記1」を入手。
手記1:「閉じ込められて四時間たった。探索に行った友達は返ってこない。タカも、シュンも、ユキも帰ってこない。もうすぐろうそくが消えてしまう。いやだ、暗闇の中で一人なんて、絶対に嫌だ。怖い。怖い、どうしてこんなことに。死にたくない。何か書いていないと気が狂いそう。声なんか聞こえない。聞こえないからどっかに行って!」
知識ロール→成功者は、ごく最近大学生の4人組が「心霊スポットに肝試しに行く」と言ったきり行方不明になっているという事件を知っている。
ネットの情報「4日ほど前から行方不明になっている大学生の男女四人は、肝試しに行くと言い残して大学を出たきり、連絡がつかないままである。
四人はそれぞれ○✕大学の伊藤高之さん、古賀ユキさん、長谷田俊介さん、齋藤舞子さん。いずれも大学二年生」
事件を知っている人だけアイデアロール。
成功者は、この手記が真新しいこと、人数の一致などから、行方不明になった大学生はここに来たのではないか……そしてここで、なんらかの事件が起こり、帰ることができなくなったのではないか……と考えた。0/1のSANチェック。
*部屋②
1階で一番広い部屋。
だだっぴろく、畳はところどころ腐り落ちている。奥には掛軸がかけられている。幸運成功で無事に奥まで行ける。失敗したら腐った畳に足を取られて転ぶ。HP-1d3
掛軸に目星「巨大な腹部とヒキガエルに似た頭部を持ち、口からは舌を突き出し、半ばまぶたが閉じられた眠たげな目をした、黒っぽい何か」が描かれている。
このような名状しがたい、酷く不吉な、不安になるような悪魔的な絵を見てしまった君たちは、1/1d4のSANチェック。掛軸の保存が悪かったのでこの程度。
*KPの裁量によって、ここでは睦美のDEX×5(45%)が成功すれば、末裔を「見ちゃダメ!」とかばうことができる。この恩恵に預かれるのは、末裔だけ。その場合末裔は、直視しなかったので0/1d2のSANチェックでOK。また、そもそも「怖いので一緒に待っていてほしい」と懇願して部屋に入れないのも良い。とにかく末裔を徹底的に守ろう。
睦美が不安そうにペンダントを握りしめる描写を入れても良い。「そのペンダントは?」と問われた場合、彼女は「お守りなの。妹が私のために作ってくれたのよ」と微笑む。
*掛け軸で「クトゥルフ神話」を振りたいという人は振っていい。描写はKPに任せる。
アイデアロール→成功者は、このぼろぼろの絵に描かれている不気味なものこそが、この滅んだ村で秘密裏に信仰されてきた存在なのではないか、と直感する。
*部屋③
少し狭い小さな部屋だ。使用人の控室かなにかなのか、極端に質素である。
目星ロール成功→「質素な本①」を本棚の裏から入手。読むには30分。
「母国語」ロール。失敗したら時間が1時間かかるだけで、読むことは可能。母国語が全員低く、誰かが「図書館」を高い数値で持っている場合には、そちらに変えても良い。とにかく必須情報なので、必ず情報を与えること。
「司祭が言うに、次の儀式は葉月の末日である。巫女に五実をようやく引渡す時が来た。オオカミ様がそれをお望みだ。
一葉はお気に召されなかった。二海もさほど気に入っていたようには思えない。オオカミ様は気まぐれも激しく、三重はいらぬと申された。四枝は他へやったと申された。長年、オオカミ様に来ていただこうと懸命にご機嫌をうかがっていたが、ようやく、五実がおめがねに叶ったようだ。
あれには強い力があるとオオカミ様はおおせられた。ご満足いただけたら、今度こそオオカミ様は我々の前に直接お姿を見せてくださるだろう」
アイデア→押切は「司祭」として、「オオカミ様」(=掛け軸のあれ)を呼び出す儀式に巫女という名目の生贄を捧げていたのではないか。
*部屋④
部屋③と同じくらいの大きさの部屋だが、少し中は上等のようだ。睦美が「ここは私が長いこと隠れていた場所、安全よ」と言う。
他の部屋と比べて、空気が正常に感じるだろう。生前の睦美の部屋でもある。「ここには何にもないわ。拾ったものならあるけど」→探索者がこれについて突っ込んだら、六実がほかの部屋で拾った手記②と手記③をもらえる。
*睦美が一緒でない場合は、目星で手記を見つける。「物置と土間で見つけた」と言われるだろう。アイデアを振って「睦美はペンを持っていなかった。これは睦美が書いたものではないのだろう」と気づいてもいい。
手記②「睨まれた睨まれた睨まれた私じゃない私じゃないのに」
手記③「いつみって、だれ。地下の、あのばけもの、あれは、あれ、あああんなのしらないしらないしらない
もういやころして」
精神分析→手記②,③を書いているのは①を書いた人と同じ人。だんだんと精神を狂わせたのだとわかる。0/1のSANチェック。
地下があるのかと問われたら、六実は「わからない、行ったことない」と答える。
部屋⑤
入って聞き耳。成功者には部屋の外からささやき声が聞こえる。
「逃げたぞ」「逃げた、逃げた」「捕まえろ」「足を砕いて連れ戻せ」「逃げるなんてとんでもない」「何のための巫女だ」「逃がしたのは誰だ」「早く捕まえろ」0/1d2のSANチェック
部屋⑤は③、④よりも少し広い。
五実の部屋だったところ。代々巫女が幽閉されていた。
目星→この部屋の窓は鉄格子がはまっていることに気付く。扉の鍵も、内側からは開けられない構造である。
日記を入手。読むのに30分。母国語ロール。
五実の日記
「○月×日
今日から、おやしきにきました。巫女になるには、ここに住むのがしきたりです。お姉ちゃんと、いっしょです。お母さんは、巫女になるのはすごいことだから、しっかりやりなさいと言いました。五実は、お姉ちゃんと、オオカミ様にごあいさつにいきました。あんまり、覚えていません。選ばれたのは、五実でした」
「▲月○日
司祭様が苛立っているのがわかります。真上が、司祭様のお部屋です。どうして怒っているのか、わかりません。どんどん、足音が、乱暴です」
*睦美が司祭の部屋に忍び込み、儀式の真相を知った。司祭は何者かが部屋に忍び込んだことを悟って荒れている。
「■月▽日
お姉ちゃんが、私に逃げろと言いました。私は巫女だから、逃げられません。お母さんは、巫女は、名誉なことだと、言います。でも、お姉ちゃんは、巫女になると死んでしまうと、言います。巫女は、オオカミ様のお嫁さんだと、司祭様は言いました。誰が正しいのか、わかりません。どうすればいいのか、わかりません」
「◇月○日
巫女になる日が、決まりました。葉月の末。夢に、オオカミ様が出てきた。一日、取り乱しました。心が蝕まれて、ぼろぼろと欠けていくような、気持ちです。姉さまの言うように、私は、だまされているのかもしれません。私は、」
最期のページ「二十九日、逃げます」
最後まで読んだら、目星。
成功した人は、窓の格子越しに、そしてまた開け放った廊下側の扉の向こうに、白い影がこちらをにらんでいることに気づく。祭事の衣装を身にまとったそれらの影は、怒りの表情でぎりぎりとこちらを……いや、末裔を睨みつけている。
睦美が「見ちゃダメ」と末裔をかばうだろう。KPは睦美の DEX×5でダイスロール し、成功したら末裔のみ影を見なかったことにしてもいい。末裔は発狂すると押切の亡霊に捕まって生贄にされてしまうので、睦美が失敗した場合でも、ぎりぎり発狂しないよう調整して構わない。
この白い影を見た人間は、0/1d3のSANチェック
廊下の端まで来ると、右側が押入れ、左側が木の扉になっている。
*押入れ
目星→箱と箱の隙間から「簡素な本②」を入手。
床に投げ捨てられている「質素な鍵」をほこりのなかから見つける。これは階段を塞いでいる気の扉の鍵である。
簡素な本②(①とは別。日付もこっちの方が古い)母国語で30分。
「▽月●日 押切が仏蘭西から戻ってからというもの、この屋敷からは日々不穏な呪文が轟き、あらゆる不気味な物音がする。娘を亡くして傷心だというが、全く不気味で仕方がない。一体あれはなんなのか、問えども、仏蘭西の歌劇の真似事だなどと不気味に笑うばかりだ。
◇月◆日 どうも夏の天気が良くなく、収穫に影響が出そうだ。このあたりは隔離された山中なので、都会のように、作物がとれなければ買えばいいとはいかない。このご時世に飢饉などと言う単語が頭をよぎる。飢え死にだけは避けたいところだ。押切が、オオカミ様に祈れば不作にはならぬと言い出した。あの部屋の不気味な人形共といい、どこまで胡散臭い男だ。
●月◎日 周辺の山村が壊滅的被害を受ける中、この村だけが豊作で秋を終えた。押切の言うオオカミ様のおかげだと、盲目的な信者まで多数生まれ、よその村から移り住んでくる者まで出る始末だ。押切はその中から美しい少女を選び、「オオカミ様の巫女に」と屋敷に引き取った。村中が、どうにも息苦しいほどの熱狂の中にいる。誰が呼び出したのか、いつの間にか押切を「司祭」などと呼ぶものまで出てきた。どうしても押切を信じられないので、今のうちに妻と二人で遠方の親類の家に逃げるつもりである」
木の扉:押入れで見つけた鍵で開く。開いたら二階に上る階段がある。
睦美は二階に上がったことがあるかと問われると、ないと答えるだろう。
順調なら、ここまでで時間がだいぶ経過。
必要なら空腹補正を与えてもよい。(マイナス10程度)
■2階の探索。
2階にある部屋は3つ。
司祭の部屋と、座敷牢、そして祭事用の物置だ。2階は屋根裏部屋をぶち抜いたのか、この手の家屋にしてはやけに天井が高い。
階段に目星をする場合→階段は古いがちゃんと登れそうだと分かる。
聞き耳する場合→遠くで「ギッ」ときしむような音が聞こえる気がする。
*物置
聞き耳をする→ギッ、ギッと軋むような音が聞こえる。
なるべく目立たないように廊下の壁に同化している木の扉。
開けると中にはもっともらしい祭事衣装や、燭台や供物台などが丁寧におさめられている。道具類は使った形跡が見られず、スペースがかなり空いていることから、ここに残っているのは予備だろうと気付く。ギッ、ギッ、という軋むような音がする。
中を明かりで照らすと、その音が上から聞こえて来ると気付く。
……日本家屋の太い梁に、ぶら下がる人形のような人影。
女性だ。
奥の方に積みあがった空き箱や荷物を足場に、首を吊ったのだろう。まだなくなってから間もないようで、カッと目を見開いた苦悶の表情が、君の心に暗い影を落とす。0/1d3のSANチェック。
→遺体を見つけたら遺書もみつける。「座敷牢の、下、呼んでる こわい、こわいよ」
*この女性はメモを残していた人。大学生四人組の一人であろう。もしも彼女を下ろしてやろうという人間が居た場合、形見として女性の髪飾りを探索者に与える。「Maiko.S」というイニシャル入。この髪飾りを持って屋敷を脱出すると、最後のSAN回復が1d3増える。
*押切の亡霊は、集団で屋敷にやってきた者達の内1人を殺して体を乗っ取り、追い詰めながら奥へ誘い、発狂した人間を生贄とすることでツァトゥグァの立体映像を維持している。この4人組の他の人たちも生贄に捧げられ、彼女は完全に発狂する前に死を選んだ。
*部屋(押切の部屋)
日本人形や西洋の人形がバラバラの方を向いてそこらじゅうに飾ってある。どれも可愛らしい少女を模したものばかりだ。部屋には本棚と、座椅子に机、人が一人入れそうな大きさの行李が置いてある。布団は綺麗に畳まれたままだ。
部屋全体に目星する場合→女の子が好みそうな人形ばかりだな、と感じるだろう。いわゆるコレクター用のビスクドールとは違い、女の子が人形遊びに使うような人形だ。
他にも、机の上には化粧箱や小さな鏡台など、少女が好みそうな小物が多い。だが、不思議と机や座椅子などの根本的な家具は男性的で質素だ。
*行李
開けると中には十代前半の少女を模した活き人形が横たわっている。
手の甲の血管さえも浮き上がってきそうな、奇妙な艶めかしさを持った美少女だ。まるで眠っているだけのようにも見えるけれど、触ればその肌が陶器のようなものでできていることがわかるだろう。
目星→手が何かを握る形になっている。「座敷牢の鍵」を手に入れた。
帯に半紙が挟んである。
『私のかわいい咲絵。お前を必ず生きかえらせてあげようね』
よく見れば、人形の髪の色は真っ黒ではなく、栗色に近く、目鼻立ちも西洋風の面影があるとわかる。
オカルトを振る場合→人形は「ヒトカタ」魂の入れ物として利用されることも多い。ひょっとしてあの人形に「咲絵」の命を吹き込み、蘇らせようとしたのでは?と推測できる。
*本棚
ほとんどがかすれていたりぼろぼろに腐っていたりして読めないが、かろうじて意味の読み取れるものはフランス語の本と日記や祭事の記録らしい。
目星→成功で本棚の奥の壁が外れることに気付いた。中から、ぼろぼろだが一応本の体裁を残している一冊の本が出てくる。正体を知りたくばフランス語。
フランス語で本棚を見る場合→本棚の本は魔術書と思われるものばかり。胡散臭いのから本格的なものまでさまざま。
本棚の奥に隠されていたのは「エイボンの書」の写本だ。ほとんど朽ちていて読めそうなページは少ないが、専門用語が多く言葉も古いので、持ち帰って研究することもできる。
本棚の奥から出てきた本の中には二枚の紙が挟まっており、それぞれ「完成の呪文」と「無に帰す呪文」とある。これもフランス語で書いてあるので、フランス語ロールが成功した場合、斜め読み扱いとして、<クトゥルフ神話技能>+3%、1d4のSAN喪失で二つの呪文を覚える。時間は一時間。
他の探索者に呪文を教える場合は、教わる探索者が「幸運」ロールに成功の上<クトゥルフ神話技能>+3%、1d4のSAN喪失。
但し、教わる方も「フランス語」技能を持っている場合は「幸運」ロールは省略して良い。
呪文を唱える場合、1d6のSAN喪失+2のMP喪失となる。ただしその代わり、誰かと一緒にに呪文を唱えると、失われるSANは二人が1d6振って大きい方を1/2ずつ失う、に変更できる。3人で唱えるならばSAN喪失は一律2で固定。
*机
目星→机の引き出しにフランス語の新聞記事。フランス語ロールで「ストーカー殺人」の記事であると分かる。
「✕✕通りで殺人……犯人は自殺」
近所でも美しいと評判だった「アデール・サキエ・オシキリ」が、腹をズタズタに刺されて大量に血を流して絶命しているのが見つかった事件。
犯人は近隣に住む自称芸術家の男で、前々から彼女に執拗なアピールを繰り返し、つきまとっていたという内容が、事件の始まりから徐々に扱いが小さくなって新聞から消えるまでスクラップされている。
*咲絵の事件。KPは好きな様に事件を演出して描写すること。
日本語で以下の様な走り書きもある。
「諦めない。絶対に、諦めない。できるはずだ。例え命と引き替えにしても」(メモ書き)
「五美が逃げた!あれは大神様のお気に入りだったというのに!お怒りを鎮めるために、ひとまずかわりの人間を捧げる。早く、早く取り戻さなくては!」
「このままでは村人が尽きる。私にはまだやることがあるのに」
「逃がさんぞ、逃がさんぞ五実」
アイデア→探索者は、日本語のメモから、「押切は逃げた五実の代わりに、時間稼ぎとして村人たちを代わりに生贄として捧げたのではないか」と気づく。
「座敷牢」は村人たちを逃さないために作られたものなのではないか。
……そしてそれは、村人が尽きるまで繰り返されたのではないか……
想像を絶するそんな考えを抱いて、具体的な想像までしてしまった探索者は、0/1d3のSANチェック。
化粧箱→だいぶ腐りかけているが、引き出しを開けることはできそうだ。中には時代を感じるおしろいや、錆びついたペンダントなどが納められている。
一番下の小さな引き出しには、皮膚から直接剥がしたかのような「爪」が10枚、ばらばらと放り込まれていた……。
0/1d2のSANチェック
*これは押切の娘である咲絵の爪。遺体を持ち帰ることがかなわず、姿を似せた人形とこの爪、遺品の人形を持ち帰った。ぶっちゃけただのデストラップ
鏡台→目星すると、閉じられた鏡の縁に何か彫り物があるように見える。鏡の蓋をあけると「咲絵」という名前が彫ってある。鏡の部分は蓋をあけると三面鏡になるようだ。引き出しの中などにも特に怪しいところはないが、白い女性用のきれいなクシが入っている。
鏡台から離れようとした探索者が、蓋を片方閉めた時、ちらりと自分の後方に血まみれのガイドの姿が映る。振り返っても誰もいない。おかしいなと思ってもう一度視線を鏡台にうつすと、そこには自分の姿は映らず、焦点の合わない笑みを浮かべたガイドが写っている。
首から下がない。
そしてその頭からは、どくどくと鮮血が流れ落ち、目は赤く充血し、この世のものとは思えないほどのおぞましさだ。
その口が開いて「お前たちも生贄になるのだ!」と誰のものともわからぬ声で叫んで、消えた。
0/1d5のSANチェック
押切の部屋を出るとき、聞き耳。成功者は「くすくす」と笑う少女の声を聞くだろう。一瞬、ろうそくやライトの明かりがフッと消える。
懐中電灯は一瞬の後に光りが戻る。ろうそくはライターで再びつけることができる。明るくなった室内では、てんでバラバラの方向を見ていたはずの人形たちが、一斉に探索者たちの方を見えいることに気づく。
……もちろん、行李の中の活人形も。生者にただ黙ってじっと見つめられているような、痛いほどの沈黙の中、その活人形が確かに口を開けて、笑った。
0/1d5のSANチェック。
*座敷牢
行李の人形の手から鍵を取得していれば入れる。見るからに牢屋で、床はじっとりと湿っている。
○ここからSANチェックラッシュに持っていく。
木枠でできた座敷牢。
目星や聞き耳をせずとも、中に誰もいないことはわかるだろう。
床は黒く変色していて、壁にはひっかき傷など細かい傷が残されている。
大部屋で見つけた南京錠の鍵で開く。
最初に足を踏み入れた人
→ぴちゃ、と音が聞こえた。
――どこから?
いや、そんなものは見なくてもわかっている。足元からだ。
恐る恐る、あなたが視線を床に落としたその時……
「そこ」が大きな「血だまり」であることに、あなたは気づくだろう。
……瞬きをすれば、その血だまりはただの黒ずんだ床に代わる。けれどもあなたの見たもの、その血の海の残像は消えない。1/1d3のSANチェック。
→アイデア
成功したあなたは、今見た「血だまり」が、昔ここに閉じ込められた村人たちのなれの果てである、と気づく。床がこれほど汚れているのもそのせいだろうと気付いてしまう。例えようもない腐臭が、一瞬あなたの鼻孔をくすぐるだろう。
――そこには、数十年の間助けを求める人々の、狂おしいまでの恨みが渦巻いているのだ。
0/1d2のSANチェック。
○ランダム探索者に
(シークレットダイスで決定。但し末裔以外)
ぽたり、と何かがあなたの目の前の空間を落ちて行った。
それは何か、と考えるまでもなく、あなたは自分の足元に視線を送るだろう。赤黒いしぶきが、そこに落ちている。
ぽたり。
今度はあなたの頬をかすめる。
手で触れますか?→触れたら血だとわかる。触れなくても、来ている服にも落ちてきてわかる。
なぜ、そんなものがあなたに向けて落ちてくるのか。
――上を見ますか?
見上げると、天井に張り付くように見覚えのある顔がにやにやと笑っている。
藤崎だ……いや、藤崎だった男だ。
真っ赤に染まった目が濁りきり、青白い顔は一層気味悪く暗闇に映える。その、酷く損傷の激しい頭から、ぽたり、ぽたりと、血液が……あなたに向かって落ちてくる。
目が合った。
いや――視線に捕えられた。
あなたがひゅぅと息をのむ、そのすきを狙うように、藤崎だった男は糸の切れたマリオネットのごとく、一直線にあなたに向けて落下してくる。
DEX×5で回避ロールどうぞ。
→成功 あなたは辛うじて藤崎をよける。藤先は不気味に低い笑い声だけ残して床をすり抜けて消える。
……でも、あなたに降り注いだ血液は、その冷たい赤は、消えなかった。
0/1d6でSANチェックどうぞ。
失敗→あなたは藤崎をよけようと、足をもつれさせて転んだ。後方にしりもちをつくと、その床は何か液体でぬれている。
何の液体か。
考えるまでもないだろう。
血だ。
あなたは血の海の中に投げ出されたのだ。手をついたなら、その手も血で汚れていることに気付くはずだ。立ち上がろうとしたあなただが、足はうまく動かなかった。
――床から這えるように、2つの手が、あなたの足をしっかりとつかんでいるのだから……。
1/1d6+1のSANチェック。
○末裔と睦美
睦美が具合が悪そうにしていることに、末裔は気づく。
*睦美はもともと幽霊なので、実態を保つことが苦しくなってきている。なんとか末裔を守りたい睦美は、力を込めたお守りのペンダントを末裔に渡し、自分が消えてしまっても大丈夫なようにしたい。
医学や応急処置を申し出ても頑なに固辞される。休んでは?と問いかけても「大丈夫です、つかれただけですから」と返答。
「それよりも、( 末裔 )さんにお願いがあります」
ペンダントを「持っていてほしい」と差し出される。「私を信じてください」と渡される。心理学は振れない、振るまでもなく睦美の意思が固いことがわかる。
( 末裔 )には幸運ロールを、睦美には信用ロールをそれぞれ振らせる。どちらかが成功すれば、「ペンダントを持った手のひらがじわりと熱を持ち、あなたを包んだように感じた。と描写しておく。
*ここは問答無用で成功させても良い。むしろ後々の事を考えると成功した方がいいかもしれない。
目星を壁に振る場合→物置方面の壁が不自然だと気付く。座敷牢の壁が少し手前に見える。調べれば、隠し扉の存在に気付く。床と指定された場合には気づけないので、アイデアや幸運を振らせて「廊下の壁よりも座敷牢の壁が手前にあるのでは?」と気づかせる。
開けると石造りの、まっすぐな穴が下に向けて口を広げている。錆びついた鉄製のはしごで上り下りするようだ。
睦美が「スカートなので先に降りたい」と言ってくる。「何かあったら言いますので」と。
降りると石造りの、細長い通路がまっすぐに伸びている。先は見えない。ろうそくの炎が揺れるので、どこからか風が吹いていることに気付く。
先に降りた睦美は、ふらりと先に進んでしまう。PCたちが捕まえることも可能だが、ぼんやりと心ここにあらずな感じだ。
目星→通路は長くて先が見えない。だがあなたたちはその石の通路に引っ掛かる髪の毛や、床に落ちている歯の一部だったもの、またはしぶきの跳ねるような黒ずんだ模様などから、この通路でも悲痛な出来事がいくつもあったのだろうとさとる。0/1d2のSANチェック。
しばらく……5分くらい歩くと、睦美が立ち止ってじっと通路の右壁を見ている。「ここ、扉です。外に続いているみたい。風が……」
どんなに頑張っても開かないが、そこは確かに外に続く扉のようだ。一部にあいた穴から覗くと、外に石段が見える。睦美は末裔に「ここ、覚えておいてくださいね」と耳打ちしましょう。
*突然、その穴の向こうに「目」が現れる。光のないその目は、無機質にあなたを映している……。どうしますか?
飛びのく→細い竹やりが、穴から内側に突き刺された。それは空を切ったが、あなたの目を狙ったのであろうことは請け合いである。
人ならざる者からの、明確な殺意に身を震わせたあなたは、1/1d3のSANチェック。
そこから少し先に広間があるようだ。入り口には木製の板がはめ込まれている。「儀式の間」と読める。
睦美はずっと思いつめたように黙り込んでいる。
*地下
広間のような場所に出る。円形の、石で出来た部屋だ。物置で見かけたような、儀式に使う道具が置かれている。
その中央に、何かがいた。
明かりを向けると、それは探索者たちの前にその姿を表すだろう。
「巨大な腹部とヒキガエルに似た頭部を持ち、口からは舌を突き出し、半ばまぶたが閉じられた眠たげな目をした、黒っぽい何か」
具体的に何に例えると言われれば、何にも例えることはできない。それは、静かに眠っているかのように、そこにある。輪郭がゆらめき、それが実態ではないことを探索者たちに知らせるが、そんなことは湧き上がる恐怖の前には些事であった。
この、おぞましくも圧倒的な、どうあがいても人間の到達できそうのない、恐ろしい立体映像を目撃した探索者は、1d6/1d20のSANチェック。
ただし、( 末裔 )だけはペンダントを受け取っている場合、睦美の加護があるので、1d3/1d10のSANチェックに軽減される。
*大抵の場合、ここで誰かしら発狂するので、混乱に乗じて睦美は姿を消す。末裔を庇うために。
*儀式の間で「無に帰す呪文」を唱えられれば無事に帰れる。1d6のSAN喪失+2のMP喪失。ただしその代わり、誰かと一緒にに呪文を唱えると、失われるSANは二人が1d6振って大きい方を1/2ずつ失う、に変更できる。
ただし、呪文を唱えようとした時に立体映像がゆらりと動き、藤崎が奥から突如として現れ、「巫女を捉えろ!」と叫ぶ。すると、まっすぐに末裔に向かって触手のようなものが伸ばされる。
それを、睦美がかばって捉えられる。ギリギリと締め付けられながら、睦美はうわ言のようにつぶやく。
「逃げて……私の、可愛い、いつみ……。無に……かえし、おわ、らせ、て。逃げて、もう、お姉ちゃんは、こ れ い じょ う 」
藤崎(押切)「忌々しい六実か!お前は何度私を邪魔すれば気が済むのだ。もう少しでオオカミ様がいらっしゃるというのに、村を滅ぼしても気が狂っても、霊体になってすら、まだ邪魔をするのか!」
「あなたを、守る ため、なら、 わ た し は、 」
たちまちのうちに睦美の体は胴体から真っ二つに裂かれ、無残に血をまき散らしながら床に転がる。しかし、それは幻であったかのように次の瞬間には掻き消え、睦美と言う存在は消滅してしまった。
1/1d6+1のSANチェック。ただし末裔はずっと睦美にかばわれてきて、一番近くに居た存在。末裔の睦美への好感度により、末裔のみSANチェックを盛る事ができる。1d3/1d10のSANチェックくらいは盛っていい。
*このイベントは、末裔が広間に足を踏み入れなければ発生しない。
末裔が警戒して通路に残る場合は、
1:藤崎(押切)が「呪文を唱えようとした探索者」に襲いかかり、睦美がそれをかばう。
2:藤崎(押切)が呪文を妨害しようとするが、DEXや幸運などのダイスロールで成功すれば無事に唱え終えたことにする。脱出まで睦美は一緒に行動し、最後の階段を登らずに、「私はそちらにはいけないの」と淡く微笑んで消える。
など、のように、臨機応変に対処して欲しい。
上記のイベントを終えてから呪文を唱えることができる。触手のようなものが睦美を捉えたことで、僅かな隙が生まれたからだ。
呪文を唱え終わると、鎮座していた映像は泡のようにぶくぶくと気泡を吐き出して消える。同時に、屋敷を守ってきた魔力が消え失せ、休息に老朽化した押切邸は崩れ始める。この時火事も起こる。探索者たちは、通路の途中の扉から無事に出られる。
*「完成の呪文」を唱えた場合、2のMP喪失、1d6のSAN喪失。
生贄少女の末裔は持って行かれて生贄にされるのでロスト。天井に連れ去られ、探索者たちには血の雨が降ってくる(1d3/1d10のSAN喪失)
発狂した探索者は神話生物に捕まる。それ以外の探索者は逃げるか、KPの裁量によってツァトゥグァの出現を演出し、1d10/1d100のSANチェックにもつれこんでもいい。
脱出に成功した探索者たちは、廊下でさっき発見したボロボロの扉を押し破って、階段を駆け上がり、外に出ることに成功する。
敷地の外に出た探索者たちに、最初に死んはずの藤崎が追いすがる「待て!俺を助けてくれ!」→敷地の外に出られず、探索者たちの目の前で家屋の下敷きに。
二度目の凄惨な死を目撃したみなさんはSANチェック。0/1d5
*この二度目の死イベントは、PCたちのSANの状況によっては発生させなくて構わない。あまり削れなかった場合のダメ押し用。
やがて完全に屋敷が崩れ、静寂が訪れる頃。
末裔は、睦美の古びたペンダントの、石にヒビが入っていることに気づくだろう。……あなたを守った、証として。
生還者は1d10のSAN回復。
末裔の生存で1d3のSAN回復。
無に帰す呪文を唱えた人は1d3のSAN回復
一度も発狂しなかった人間は、更に1d6のSAN回復。
物置で首をつっていた女性の形見を持って屋敷をでた場合、1d3のSAN回復。
補足
*これでもまだ発狂足りない!という方は、以下のイベントを自由に付け足してください。
○廊下を歩いていると、もう一つ余計な足音が聞こえる。振り返ると血まみれの藤崎が、ニタニタ笑って後をつけている。気付かれたガイドは気が狂ったように笑いながら、ナタで探索者たちに斬りかかる。(回避かDEX×5で逃げられるが、SANチェック0/1d3)
○廊下の奥に藤崎が立っている。ニヤニヤと笑いながらすうっと階段方面へ消える。0/1のSANチェック。
○突然、上から人体の一部が落ちてくる。(SANチェック0/1d3)その後、それはすうっと消え去る。
○部屋中に「助けて」「逃して」「嫌だ」「怖い」などの落書きが浮かび上がる。部屋を出ると消える。(SANチェック0/1d2)
○押切の部屋で、活人形に足や手を掴まれる。振り払うと簡単に外れるが、表情が変わっていて、強く探索者を睨みつけている(SANチェック0/1d3)
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