01 January インセイン【忘却のロンド】 大切なものほど、どうして、この手をすり抜けてしまうのだろう。 イギリスはロンドン。イースト・エンドにほど近い貧困街。かろうじて警察の目が行き届くその場所で、寄り添うようにして暮らしてきた二人の兄弟。 兄・ライヤーと弟・オーネスト。 二人の暮らしは貧しくも、幸せなもの……だったはずだ。記憶障害を発症していた弟が、ある日忽然と消えるまでは。 たった一人で、生きていくには世間は厳しすぎる。だからこそ大切に、大切にしてきたのに。大切に――。 ――だが、それは、本当だったのだろうか? インセイン【忘却のロンド】 さあ、本当の記憶(もの)はどれ? つづきはこちら PR
01 January インセイン【切望の果て】 ――緊急時特例を確認。利用規約に基づき、セーフティ解除、強制解凍を開始します。 ――貴殿らの意思に関わらず、五秒後に冷凍睡眠は解除されます。 5,4,3,2,1―― 鼓膜を揺さぶる機械音。 無機質で単調な、どこか懐かしささえ感じるシステム音声。 薄暗がりの中で、あなたたちは目を覚ます。希望を抱いて眠りについた、その時の姿のままに。 けれども……目覚めたその場所は、あなたの知る地球ではなかった。 インセイン【切望の果て】 待ち受けるのは、天国か地獄か。 つづきはこちら
01 January インセイン【深淵からくる】 「――会いにいくよ」 それは、遠い昔、あなたが子供だった頃。 仲の良い友だちがいた。一緒に馬鹿騒ぎをする仲間だった。みんなでいたずらをしてはよく怒られた。だけど……。 だけど。 ――彼は、死んだ。 そうして今、あなた達の夢に夜な夜な現れる。 『会いに行くよ』 彼は笑う。夢の中で、子供のままで。一歩一歩近づいてくる。あなたたちに笑いながら近づいてくる。毎夜、毎夜、そんな夢にうなされている。 そう、うなされている。 ……あの笑顔が、何故か怖い。 インセイン【深淵から来る】 どうして、今なんだ。 つづきはこちら
01 January インセイン【新小岩】 関東圏屈指の自殺の名所――「新小岩駅」。 今日も明日も止まっている、どうせ明日も遅れるだろう。もはや諦めの境地でいつものように乗り込んだ電車で、あなたは強烈な睡魔に襲われる。そうして眠りに落ちる寸前、その声を聴いた。 「しんこいわにおいで」 インセイン【新小岩】 目覚めれば――そこは、死にもっとも近い場所。 つづきはこちら
22 December CoC【シアワセと云ふ名の傀儡】 その坂の上の屋敷には、妙な噂がありました。なんでも、住んでいる若きご当主の気が触れているというのです。町医者を呼びつけましてはご婦人の肖像画を差し出し、「妻の具合を見てください」と無理難題を云うのだとか。ええ、ですからあなたがこの町に不幸にも診療所を構えたとあらば、呼び出されるのは当然の事。極彩色の、目もくらむようなふすまの先に、その絵と当主は居るでしょう。願わくばあなたが、正気のまま屋敷から戻られますよう祈ります。 それでは、いってらっしゃいませ。 ――CoC【シアワセと云ふ名の傀儡】 彼の人の幸せに、四つ合わせて四季を揃えて。 つづきはこちら